トーンバーの音程

トーンバーの音程や配置には、音楽を演奏し易くするための仕組みがあります。

音の位置

下の図は、標準チューニングで調律したトーンバーです。

下段はCのダイアトニックスケール、上段はその半音上のC♯のダイアトニックスケールになっています。

度数の上下に付いている「●」印は、オクターブの上下を表しています。

ダイアトニックコード

下の図は、度数表示板に書かれた度数を、Cのキーに変換したところです。

そして下の図では、隣接した3本のトーンバーが、3音のダイアトニックコードになっていることを表しています。

さらに下の図では、隣接した4本のトーンバーが、4音のダイアトニックコードになっていることを表しています。

つまり、既にトーンバーの並びだけで、ダイアトニックコードを弾くことができるのです。 一般的な曲の中に出てくるコードの80%~90%がダイアトニックコードだということを考えれば、これがいかに演奏をする上で便利なことか分かると思います。

CF重複音の利用

もうひとつ、トーンバーの音程でとても重要なことがあります。

「C」と「F」の全く同じ音程が、上段にも下段にも存在することに、お気づきになられたでしょうか? そして「なんと無駄なことを」とも思われたでしょうか? 上段の一番高い「C」の音は別として、他の5本のトーンバーは無くても良いようにも思えます。

しかし、これがあることによって、この楽器最大の欠点を少しだけでもカバーすることができるのです。

管楽器は短音しか出ないし、ギターやウクレレなどは弦の数以上には同時に音を出すことができません。 楽器として完璧にみえるピアノでさえ、指の届く範囲でしか同時に音を出せないなど、どんな楽器にも多少の欠点があります。 そして、それを「ごまかす」ことが、アレンジであり演奏の技術だと言えなくもありません。

音域からすると、ギターの4オクターブ、ウクレレの2オクターブ半からすれば「羽乃音カリンバ」は3オクターブなので、ソロ演奏でもそれなりのことができる範囲と言えます。

隣接する3~4本のトーンバーを滑らせて弾けば(厳密に言えば同時ではありませんが)それなりにコードも弾くことができます。

ただ、どうすることもできないのが、左右同じ側にある離れたトーンバーを同時に弾くことなのです。

例えば、小節の1拍目でFコードのベース音とメロディが、このような関係になってしまうのはよくあることです。 この2つを同時に弾くことはできません。

で、どうするかというと、メロディは弾かないわけにいかないので、ベース音を諦めるわけです。 あるいは、タイミングを前後に少しだけずらしてベース音を弾くとか、逆にメロディをずらすとか、とにかく変則的なことをしてでも、なんとかごまかさなくてはいけません。 しかし、かなり上手にやらないと、すごく気持ちの悪い演奏になってしまいます。

と、ここまでくれば、先ほどの重複トーンバーの意味もご理解いただけたのではないでしょうか。

もう一度よく見ていただければわかるのですが、左側下段のベース音「F」とまったく同じ音が、右側上段にもあるのです。 つまり、代わりとしてこれを弾けばよいだけのことです。 これは、他のCとFも同じ法則にあり、この2つの音に関しては、先ほどのような変則的なことは必要ありません。

だだし、右側下段の一番低いCと、右側上段の一番高いCには同じ音がどこにもありません。

確かに、CとF以外の音でもこのような事態になることがよくあります。

しかし、この重複トーンバーが、トニックの「C」とサブドミの代表格である「F」だ、ということが重要なのです。 なぜなら、主要3和音の内の2つだからです。 さらに言えば、主要3和音は1つの曲の中で使われていることが多いからです。

もう1つの主要3和音であるドミナントの代表格の「G」が重複していないことが本当に残念です。

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