No. 3 楽器らしくなってきた
前回の試作器No.2を、実際に弾いてみたところ、ピアノ配列に無理があることが分かりました。
というか、ピアノ配列は良いのです。 しかし、それを親指だけで弾くというところに問題がありそうです。 なんだか、いきなり挫折しそうです。
そんなとき、民族雑貨の店で見たカリンバを思いだしました。 実際には、どんな音にチューニングされているのかは分かりません。 ただ、中央が長くて、左右の端に行くほど短い針金を取り付けていたような気がします。 ということで作ってみることにしました。
ただ、同じようなものを作るのは嫌なので、多少の工夫を加えることにしました。
その前に、この「針金」のことを、今後は「トーンバー」と呼ぶことにします。 本当は正式な名称があるのかもしれません。 でも、私のサイトの中だけなので勝手に名前を付けることにしました。 これは、以前に私が持っていた、ローズのエレキピアノの音源となる、金属の平たい長い棒がトーンバーと呼ばれていたからです。
まず、弾きにくさの原因の一つ、針金のトーンバーをなんとかしないといけません。
100均で見つけた幅の広い「ヘアピン」などは、かなりよさそうな気がしました。 しかし、ご存じのようにヘアピンというのは、2つに折れています。 その部分を伸ばして、平らに加工しないと長さが足りません。 実際にやってみると分かるのですが、これが思いのほか、時間のかかる作業なのです。 さらに、見た目もそんなに良くありません。
薄いアルミ板やステンレス板を短冊状に切り、ヤスリをかけてみました。 やはりこれも、恐ろしく手間のかかる作業です。
なんといってもトーンバーは、たくさんの数が必要です。 私には、本格的な工具も技術も無いので、簡単な加工しかできません。
こうして、ホームセンターや100均の店などを探しまわる日々が始まりました。 しかし、探しても探しても見つけることができません。
なぜ、世の中には、丁度良いものが無いのでしょうか。
どうやら、ここまでなのかな、と諦めかけたときのことです。 それは、なにげに通りかかった100均の掃除用品コーナーにありました。 まさか、掃除用品とは思いも寄りませんでした。
その名も「ドレインクリーナー」。 どうやら、排水管を掃除するためのものみたいです。 そんなことはどうでも良いのです。 幅といい、弾力といい、もうこれに勝るものはありません。 掃除用品売り場で小さくガッツポーズをとっている私がいました。 これを見つけなかったら、たぶんここでやめていたかもしれません。
さて、どうやって切ったら良いのでしょうか。 金属用のノコギリも買っていたのですが、この鋼(ハガネ)のような材質も切れるのでしょうか。
まぁペンチで何度か曲げたりすれば、金属疲労ってヤツで折れるかもしれません。 と思って、曲げたとたんに「ペチ」と言ってあっけなく折れてしまいました。 たった1回曲げただけなのにです。 その調子で、適当な長さにペチペチと折って、切断面だけにヤスリをかけたらトーンバーの出来あがりです。
その他の木材や、アルミの棒、ネジ、ニスなどの材料は、すべてホームセンターにありました。
材料探しだけで何カ月も掛ってしまいましたが、なんとか作ることができました。 トーンバーの数は、19本で、キーはGでチューニングしました。
・・・
結果、予想をはるかに超える良い音がします。 しばらく、簡単な曲を弾いて遊んでいました。
しかし、やはりどうしても半音が欲しいのです。 半音がないと、弾きたい曲が弾けません。 何か良い方法はないものでしょうか。
とは言え、少しは楽器らしい形になってくると、とてもうれしいものです。 その調子に乗った勢いで、ブリッジを構成する部分の名前を勝手に付けることにしました。
サウンドホールに近い方から
- 駒 : トーンバーが振動するための支点になる
- 押さえ棒 : トーンバーを上から押さえて固定する
- 枕木 : トーンバーを下から支えて固定する
もし、次回以降も続けていくようなことがあれば、この名称でご説明したいと思います。