No. 0 事の始まり

映画の中でマックスが子供に、機械がむき出しの小さな手回しオルゴールをあげるシーンを見て思いました。 「そう言えば、昔あんなオルゴールを持ってたけど、どこにいったかなぁ」

私が持っていたのは、大きさも同じくらいでしたが、上品にも透明なプラスティックの箱に入ったものでした。 横から出たクランク状のハンドルを回すと、櫛のようなリードを、円筒に付けられたボツボツの出っ張りがはじいていきます。

「あのオルゴールって、もっと大きくすれば手で弾けるのではないだろうか」

どこかの民族雑貨店でさわった「カリンバ」と呼ばれる楽器のことも思い出しました。 それは、キメの粗い木片で作った木の箱に、長さのまちまちな針金が不均等に取り付けられ、焼印で押したような模様が付いていました。 そして、その硬い針金を親指の爪ではじくと、見た目を遥かに上回る良い音がその木箱を響かせるのでした。

「これって、面白いかもしれない」 そう思ったその瞬間からすべてが始まったのかもしれません。

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