No.20 ソリッドボディ桜板18

つい「さくらざかエイティーン」って、アイドルグループっぽく読んでしまいそうになりますが、「さくらいた」です。 18については、この続きを読んでいただければわかります。

さて、前回までの試作器は、ボディの中が空洞でした。

しかし、今回のボディには、厚さ18mmの桜の1枚板を使ったので、まったく空洞はありません。 ギターで言えば、ちょうどソリッドボディのエレキギターのようなものです。 作るのは簡単なのですが、板を探すのに手間がかかってしまいました。 ホームセンターで売っている板は、意外に反っているものも多くて、平らなものは10枚の内1枚あれば良い方です。 その中から、木目が良いものをとなると、ほぼ奇跡の出会いとしか言いようがありません。

そういった訳で、ネットや通販などのように、実物を間近に見ることができないものは絶対に買うことができません。 また、数十枚、数百枚と買うのなら別ですが、試作器に使うわずか1枚ばかりを、わざわざ材木屋さんに相談などできるわけありません。

しかし、ホームセンターを巡って、やっと妥協のできる板を見つけることが出来ました。 このようなきれいな一枚板は、だんだんと少なくなってきていて、入手しづらくなってきているのでしょうか。 値段も高いし、これでは気軽に使えません。 まぁ愚痴っていても仕方がないので作ってみました。

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やはり音量は、ボディが中空のアコースティックタイプに比べて、かなり小さくなりました。 例えばテレビをつけながら弾いていると、ドラマの中で流れるピアノのBGMに紛れてしまうほどです。 しかし、手に伝わってくる振動はとても力強いものを感じます。 高音が伸びて、中音が膨らんで、低音は重厚さを増しています。

ということで、すべては予想どおりです。 しかし今回の試作器は、こんなことを確かめるためだけに作ったわけではありません。 次の段階に進むための大事なステップとして、どうしても必要なのです。

今回は音よりも振動の方が重要です。 つまり、この振動を直接、ピックアップで拾ってしまおうという計画です。 そして、その手始めとして、トーンバーが1枚板のボディを、充分に振動させられるかどうかの試みでした。 これは、試作器No.10で失敗したとき偶然に思いついたことです。

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ということで、今回は大成功です。

ただ、少し気になることもありました。 それは高音部のトーンバーの1つをチューニングしていたときのことでした。 チューナーの針が、その音程を丁度に指したときに限り「ポコン」というまったく余韻の無い音になる、という現象が起きたのです。 しかし、ほんの目盛1つ2つ、ずらしただけで、他のトーンバーと同様の伸びのある音が戻ってきます。 目盛2つ程度では、絶対音感の無い私には違いがわからないので、これでもいいかな、とも思えるのですが、何か納得ができません。 もう一度、低い方から順に、特にオクターブ下の同じ音などは念入りにチューニングしたのですが、原因は分からず仕舞いでした。

ブリッジの構造は、今までとほぼ同じなので、違いがあるとするとこの1枚板しか考えられません。 もしかすると、板の厚さに関係するのかもしれません。

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