No.31 試作器のための試作器

今回の試作器No.31は、試作器を作るための試作器です。

以前から、考えてはいても手を付けていないところがありました。 いや、面倒なので、あえて付けたくないところだったのかもしれません。

それは、アコースティックボディの中身です。

この楽器は、それほど大きな音が出せるわけではありません。 しかし、それでもボディの中での音の響きによって、とても良い音がするときがあります。 それは、ボディの中の構造が多少なりとも影響しているのではないかと思ったわけです。 確かに、弾いているときに、ボディの表面に触ると音の響きが変わるような気もします。

でも、どうしたら良いのでしょうか。 どんな構造にしたら、良い音になるのでしょうか。 やみくもにいろいろな構造のものを作って確かめていく方法もあります。 しかし、それではあまりにも時間がかかり、大変な作業になってしまいます。

そこで、今回の試作器の出番です。

裏板を外すことができるようにしました。 本体の方にナットを埋め込み、10本のビスで止めるようにしただけです。 これなら、何度でも好きなだけ裏板を開け閉めすることができます。

で、どうするかといえば、 「開ける→ボディの中に木片を貼り付ける→閉じる→弾く」 を、ひたすら繰り返すだけです。 木片は、いわゆる木っ端で、木材の端の余ったところなどを取っておいたものです。 もちろん貼り付けるときは、すぐ剥がせるように、粘着力の弱い両面テープを使います。

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予想通り、木片の大きさや形、貼る位置によって音が変わります。 あとは、一番良い位置を探すだけです。

とは言っても、劇的にすごく良くなることはありません。 こんな小さなボディの楽器ですから、良い音といってもたかが知れています。 ほんの少しだけ良いような気がする程度で充分です。

ただし、裏板に貼ったときには、ものすごく響きが悪くなりました。 これも、今までの経験から多少は予想していたのですが、しっかりと分かっただけでも大きな収穫です。

10本もビスがあると、ほんの数回の開け閉めでも、だんだん面倒くさくなってきます。 そこで、間引いて3本とか5本だけにしてみたのところ、極端に音が悪くなりました。 ということは、「もしかすると10本でも足りていないのでは」という不安もわいてくるのですが、いまさら考えても仕方ありません。 とにかく今はしっかりと締め付けるだけです。

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いったい何十回、開け閉めを繰り返したことでしょう。 もう嫌です。 人間の耳って、その日の気分やらコンディションで音の感じ方が変わるのではないでしょうか。 なんか、だんだんどうでもよくなってきました。

それでも、なんとなくですが、ほんの少しだけ高音域が伸びて、低音域に厚みがでる位置をみつけることができました。 もともと中音域の響きが良いアコースティックタイプなので、このくらいで妥協しなくてはいけないのかもしれません。

ということで、次は今回の試作器で分かったことを基に、エレアコタイプの試作器を作ってみたいと思います。

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