No.27 サウンドホールシャッター

今回の試作器No.27は、エレアコタイプです。

しばらく、試作器日誌を更新していなかったのは、結構手間のかかることをいろいろやっていたからです。

その一つが、この「サウンドホールの大きさ」を決めることです。 これは、以前から漠然と気になっていたことです。 などと言うと、「いろいろやってみて、この大きさに決まったんじゃないの?」って思われるかもしれません。 ところが、これは初めの頃に、「見た目のバランス的にも、このくらいの大きさでいいんじゃないかなぁ~」って感じでいい加減に決めたものでした。

それより、トーンバーやブリッジの取り付け、マイク基板など他にも考えなくてはならないことがいっぱいあったので、いっさい手を付けることができませんでした。 そのあたりも、そろそろ安定してきたこともあり、今回やっとサウンドホールということになったのです。

アコースティックタイプの場合、サウンドホールは表板に1つと側板に2つあります。

今回は、この一番大きな、表板に丸く開けられた、音色に最も関係するであろうと思われるサウンドホールにいろいろな工夫を施してみました。 最初、少しずつサイズの違う穴を開けたものを作っていく方法も考えました。 しかし、1台作るのに1か月近くかかるので、とてもそんな悠長なことはしていられません。 そこで、サウンドホールに開閉可能なシャッターを取り付けることにしました。

閉めるときには、サウンドホールの内側に指を掛け、シャッターを半分ほど引き出します。 そして、シャッターの窪みに指を掛け、押し上げれば完全に閉じることができます。

開くときは、シャッターの窪みに指を掛け、半分ほど開く位置まで押し下げます。 そして、出てきたシャッターの穴の渕に指を掛け、押し下げれば完全に開くことができます。

種を明かせば、このようなものを取り付けただけのことです。 しかし、このパーツは作るのがけっこう難しいのです。 私の拙い木工技術ではギリギリのところです。

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で、早速、このシャッターを開け閉めして弾いてみました。 全開の状態から、少しずつ閉めていくと音がこもってきて柔らかくなっていきます。 私としては、ほんの少しだけ閉めた音が好みです。

では、全部閉めてしまったらどうなるのでしょうか? 全く音が出ないということはないはずです。 「全開の2割ほどの音量だろう」というのが私の予想でした。 しかし、その予想は完璧に覆されてしまいました。 実際は、2割どころか8割以上の音量です。 当然、側板の2つのサウンドホールは、指で塞いだ状態で弾いています。 しかも、なんとなくソリッドタイプの音に似ている気もします。

ということで、このサウンドホールは一見、成功したかのように思えました。 しかし、何度も開け閉めするうちに、最初はキツかったものが、だんだんとユルくなっていきます。 最後は、ボディを少し傾けるだけで、開いたり閉まったりするようになってしまいました。 それだけならまだしも、位置によっては、「ビビリ音」が出るときもあります。 開閉位置の固定に、指で簡単に回せるようなネジを取り付けるなどの、仕掛けが必要なのかもしれません。 まぁ、サウンドホールの理想的な大きさも分かったし、これはこれで苦労して作った甲斐もあったということでしょうか。

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そして、今回はさらにもう一つと、全くの盛だくさんです。

上の画像は、パネルを外し、マイクユニットを引き出したところです。 一見、試作器No.25とあまり変わらないようにも思えます。 と言うか、機能的にはまったく同じものです。

並べて見ると良く解ります。 上の画像で、左側が今回の試作器No.27で、右側が試作器No.25のマイク基板です。 両方とも、載っている部品などは同じです。 しかし、試作器No.25はユニバーサル基板という穴がたくさん空いた基板を使っています。 いかにも、試作って感じです。(試作に使うことが目的の基板なのであたりまえなのですが)

上の画像は、今回の試作器No.27のマイク基板です。 まだ、部品をハンダ付けする前なので、銅の表面が光ってきれいです。 ユニバーサル基板に比べて、なんだかとても本格的な感じがします。 こういうのは、専門の業者に頼むと良い物ができるのですが、少ない数を作ると高価なものになってしまうので、面倒でも自分で作るしかありません。

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今回は、こんなところです。 ただ、一つ気になったことがありました。 それは、試作器No.25と、今回の試作器No.27のシャッター全開にした時の音の違いです。 サウンドホールが、まったく同じ大きさになるので、音も同じになっても良いはずです。 しかし、明らかに今回の試作器No.27のほうが、音のバランスが良いのです。 なんかこのあたりに、アコースティックタイプの音を良くするヒントがあるような気がします。

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