No.28 セミアコが気になる

今回の試作器No.28は、セミアコタイプに挑戦です。

エレキギターに「セミアコ」があるので、そんな感じのものを作ってみました。 セミアコというのは、セミアコースティックのことです。 つまり、ボディの中の空間を狭くして、アコースティックタイプとソリッドタイプの両方の良さを併せ持たそうと言う試みです。

上の画像は、サウンドホール部分を拡大したものです。 表板がかなり厚くなっているのが良く分かると思いますが、ついでに裏板も同じ厚さです。 アコースティックタイプと比べると、ボディ内の空洞は3分の1程度です。

たくさんの試作から、アコースティックタイプの音の響は、表板が大きく影響することが分かってきました。 普通は、「表板を薄くすれば振動も大きくなり、響きも良くなる」って思うはずです。 しかし、実際はトーンバーが、その不安定な薄い板に乗っているため、トーンバー自体の振動はすぐに減衰してしまいます。

以前、極端に薄い表板で作ったことがありました。 その時の音は、擬音で言えば、「ボン~~~~~~ン」です。 その音程の音が一瞬「ボン」と出て、そのあとピッキングの雑音みたいなものが「ン~」って響くような感じでした。

逆に、ソリッドタイプのようなとても厚い板に乗っている場合は、トーンバー自身の振動がとても長く続きます。 擬音で言えば、「ボ~~~~~~~ン」です。 しかし、トーンバーの振動だけが全てではないのが、アコースティックタイプの良さであり奥深さでもあるわけです。

前回の試作器No.27で、表板の裏側に何か取り付けると、音のバランスが良くなることに気が付きました。 昔、ギターのサウンドホールの中を覗いたときに、表板の裏に梁(はり)のようなものが貼ってありました。 あれは単純に補強しているだけではなく、音響的な意味もあったのかもしれません。

しかし、この楽器の場合、どこに、どのように、どのようなものを取り付ければ良いのか全く見当もつきません。 それなら「いっそのこと表板を厚くしてやれ」と言うことで、今回のこのセミアコということになったわけです。 もしかすると、アコースティックタイプとソリッドタイプの良いとこ取りの、究極的なものができてしまうかもしれません。

と言うことで、できたのが今回の試作器No.28です。

外から見ても分からないのですが、マイクユニットではなくて、あえてピックアップを取り付けています。 これは、音質がソリッドタイプ寄りになるだろうと予想したからです。 実は、前回の試作器No.27のマイクユニットも、そのまま取り付けることができるようにもしています。 いろいろ試行錯誤ができるように考えておけるのも、たくさんの試作器を作ってきた経験というヤツです。

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かなりの意気込みで作ったのですが、結果は予想をはるかに下回る出来でした。 とは言っても、「両方の悪いところ取り」ほどの酷さではありません。 まぁ、強いて言えば、「両方の良いところ無し」でしょうか。 サスティンもそこそこ、生音の響きもそこそこ、ってヤツです。

まだまだ、このセミアコは工夫の余地がたくさん有りそう?です。

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