No.29 アコタイプへのこだわり

試作器No.29の「エレアコタイプ」です。 今回も、盛だくさんの、こだわりまくりで行きたいと思います。

まず、アコースティックタイプの「音のバランス」について説明したいと思います。

この楽器は、3オクターブの範囲で音を出せます。 しかし、その全ての音が、全く同じ音量や音質だとは限らないのです。 これは、楽器の個性とも言えなくもないのですが、あまりにも違い過ぎると、とても弾きにくいものになります。

例えば、同じ強さで弾いても、ある1つの音だけ、他の音より音量が大きかったら、メロディのその音のところだけが目立って、とても気になってしまいます。 アコースティックタイプには、この「音のバランス」の悪さがあるのです。 これは、ボディの空洞が、より良く響く音の周波数を勝手に決めてしまうことが原因で、アコースティックタイプの宿命とも言えます。

それでも、ブリッジの取り付け部分を改良したり、その他いろいろ調整することで、それほど気にならないレベルにすることができました。 しかし、それでも私としては、まだ満足ではありません。

前々回の試作器No.27で、表板の裏側に工夫を施せば「音のバランス」がさらに良くなることが分かったので、それも今回の試作器No.29に活かしました。 シャッターは作るのがものすごく面倒なので付けませんが、サウンドホールは理想的なサイズにしました。 と言っても、少し小さくしただけです。

上の画像で、左が今回のパネルです。 翼をモチーフにデザインしてみました。 右の従来の四角いパネルが、あまりにも無機質で、つまらなかったので、思い切って変えてみました。 でも、この形を作るのは、とても手間が掛かって面倒なのです。 しかも、苦労した割に、それほど面白くありません。

次回からは上の画像のような形にしようと思っています。 両サイドのカーブがちょっとだけオシャレです。 しかも、とても作りやすいし、最初からこれにすればよかったです。

基板にあったパワーランプをパネルに移動しました。 やはり、こちらのほうが良い感じです。 出力ジャックにプラグを挿し込むことで、電源スイッチがオンになり、電源ランプが点灯します。

基板とパネルの取り付けも、しっかりと本格的なものになってきました。

だんだんと、基板を作るのが上手になってきています。 基板の上にある部品で、左端の黒くて丸いのがコンデンサーマイク、上の青い四角いのが半固定抵抗で音の歪調整です。 この回路は、コイン電池1個で作動します。 しかし、相変わらず電池の連続使用可能時間は、調べていないので分かりません。

本当に、エレアコは面倒なことだらけです。 アコースティックタイプ特有の音のバランス問題もそうですが、このマイクユニットもこれがベストなのか良く分かっていません。 電池の必要がないピックアップという選択肢も無いわけではありません。 ただ、ピックアップで拾った音はどうしても硬いのです。 これが、ソリッドタイプならピックアップでボディの振動を拾うしかありません。 しかし、せっかく柔らかなアコースティック特有の生音が出ているのですから、それを生かさない手はありません。 しかも、このマイクで拾った音は、イコライザーを使わなくても充分なほどの音質です。

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今回で、アコースティックタイプもかなり完成度が高くなったのではないかと思っています。 音のバランスもだんだん良くなってきて、そこそこ弾きやすくなってきました。 とは言っても、まだまだ満足はしていません。 本当に、キリありません。 しかし、改良のアイデアが次から次へと溢れ出てくるので仕方がありません。

最近、試作器を作ることに忙しくて、演奏することを疎かにしていました。 「弾くために作っている」ことを忘れていたかもしれません。

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